日曜日

ヒマとコガネのある方、教えます!〇秘格安旅行!(上)


退職した。ローンの済んだ自宅に戻れば、10年前に「主婦業退職」のフル女房は今や我が家の将軍サマ、長年の緊張がまた続くとがっかりする仲間も多い。家に籠もっていては「オレオレ詐欺」の被害にあうだけ。いや定年退職後、朽木が倒れるようにウツ病から急死した知り合いも多いのである。とかく男には住みにくい当節、たまには旅に出てもいいだろう。なあに、オエライお方はソッチのけ、自由に生きよう定年世代諸君!
 と、勢いこんでも先立つものはカネ。小うるさい将軍サマにお断りするにも手法がある。格安旅行を売り物に、「いや〇〇君と写真の旅に…」とでも言ってごまかしなさい。実際、格安旅行はゴマンとあるのだ。

 最近のヒットは、伊東温泉有名旅館一泊2食、2名2万円ポッキリというヤツ。だが、これで驚いてはいけない。東京発踊り子号往復座席指定券、特急券、乗車券付きなのだ。あまりの安さに2000円増しのランクアップコースとしゃれ込んだが、またまた仰天!案内されたのが次の間付きの特別室。広い洋室にはタップリした二つのベッド、それにソファー。隣の6畳の和室だけでも充分…。

 ドッコイまだある、温泉はもちろん24時間OKの掛け流し、飲泉もOK。部屋のバスまで温泉だった。いや、まだある。ランクアップ料理は、伊勢えびの刺身付き、石焼きステーキ付き…まあ騙されたみたいだった。さすがに窓外の風景は褒められないが、この旅館、正面に24時間営業のコンビ二までアリ。部屋で飲むビールも酎ハイも、こちらから運んだのは言うまでもない。
 
 どこで探すのかという質問を良く受ける。どうしてそんなに格安かと案じるヒトもいる。なあに、実はヒマとコガネがある客を求める相手がいるだけの話。年中空き部屋を抱えるホテルや旅館、カラ列車やカラ航空機を飛ばしている大企業はアマタあるのである。タクシーで語られる「実車率」を向上させるには、列車であれ航空機であれ船舶であれ、旅館であれ、まずはヒトが来てナンボの商売。

 とりわけ許認可が厳しい航空機業界では、客数が減ったからといって便数を簡単には減らせないお家事情がある。これは国際便も同様で、路線競争は激化の一方。高い運賃も宿泊代も昔はご同輩、散々使ってきたではないか。今は後輩諸君にお願いして、ヒマ便、ヒマ旅館を活用するのが我らの社会貢献ということになる。

 ところで親切極まりないのが、旅行会社のアピール方法だ。ヒマありコガネあり客層を「デジタルデバイド世代」と踏んでいるせいか、この種の格安プランは圧倒的に中央5紙の新聞広告から。つまりネットに頼らないアナログ媒体に注目せよというワケだ。朝刊の下段に目をやる習慣をつければ、あるわあるわ、まあ、仰天旅行のご案内は山とある。「光のページェントを見る北海道の旅」とかは、2泊3日で2.2万円!温泉にどっぷりつかって、旨いもの食べて、冷房暖房使いたい放題。煩い指揮官の家にいるより遥かにオトク!なのである。【つづく】

ライブドア・ニュース - 2006年12月1日

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