水曜日

沖縄・竹富島に魅せられて

沖縄本島から、約400キロ南下したところに位置する八重山諸島。エメラルドグリーンの海の美しさと人の温かさ。竹富島に魅せられ、30年以上にわたって、島の写真を撮り続けているのが写真家・大塚勝久(日本写真家協会会員)さんである。竹富島の魅力などを聞いた。(聞き手・藤原広記者)

島のオバァに助けられ
 ??1972年に沖縄の自然や習俗を撮り始め、73年から、竹富島を撮り続けています。

 もともと、大手自動車会社の宣伝広報マン兼カメラマンとして、ユーザー向けの新聞作りを16年間担当していました。主に、ドライブ旅行の取材で、その土地の歴史や伝統文化、時には祭りや温泉などを撮影して記事にしていました。

 しかし、仕事に没頭しながらも、自分がライフワークにする写真が撮れず、悶々としていたのです。写真家としてテーマを見つけられなかった。72年の本土復帰のとき、初めて沖縄に来ました。そのとき、民宿の親父さんに「南に、もっとすごいところがあるぞ」と言われました。それで翌年夏に八重山諸島にたどり着いたのです。

 ??そのとき、竹富島のオバァに助けられたとか。

 あれがなければ、竹富島を違った目で見ていたかもしれない。炎天下の中、浜辺で夢中で撮影して、集落に戻ってきたとたん倒れてしまった。そこを偶然通りかかったオバァが助けてくれたんです。

 沖縄の言葉で「イチャリバチョーデー(出会えば皆、きょうだい)」。何の疑いもなく、無防備に大切にしてくれる。太陽や海、砂浜、白い雲、そんな自然のすばらしさもあるけれど、それ以上に、オバァに象徴される、人の心のすばらしさにひかれました。

 オバァだけでなく、島の子どもたちも同じです。都会では、知らない大人から声をかけられたら、まずは警戒心を持てと教えられる。しかし島では、遠くに見える子どもたちからも、「おはようございます!」と声をかけられる。

 沖縄本島は、都会化が進んでいるけれど、竹富島や小浜島など離島に行くと、そういう子どもたちに出会って、ホッとします。



聖教新聞 - 2006/11/7

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