木曜日

下諏訪富部温泉来年3月末閉鎖へ 審議委が方針

温泉で下諏訪町富部地区の富部生活協同組合(今井康理事長)が運営する公衆浴場富部温泉は、利用者の減少で経営が厳しくなったことから、来年3月末の閉鎖方針が打ち出された。経営方針について審議する富部温泉審議委員会(宮坂邦彦委員長)が7日夜、同地区公民館で会合を開き、委員会の総意として今井理事長に伝えた。今後、同組合では理事会の協議を経て、12月中には臨時総会を招集。組合員から了承が得られれば、富部温泉の40年余りの歴史が閉じる。

 委員会の冒頭、今井理事長は利用者の減少に歯止めが掛からない状況や設備の老朽化が著しく維持管理も厳しい現状などに触れ、「赤字を覚悟しないといけない」と経営状態を説明した。

 委員からは「決断しないといけない時期にきた」

「よくここまで引っ張ってこれた」「設備を見ても、今後、(事故など)取り返しのつかないことも憂慮される」「利用者には残念なことだが、今後、増加の見込みがない」といった意見が大半で、温泉施設を閉鎖する方針で一致した。

 時期については、今期いっぱいは運営することとした。委員会の結論に当たり宮坂委員長は「残念なことだが、現状からはやむを得ない決断」と、閉会のあいさつをした。

 委員会では、資産に余裕のあるうちに経営から手を引き、これまで財産の売却などで施設運営に支援のあった地元区へ多少でも返還することが、「湯煙を絶やすことはできないと頑張ってくれた先人たちの思いにかなうこと」とした。

 現在の利用者に対しては、早い時期に周知し理解

を求めることにしている。

 利用者減は、温泉の全町配湯が広がっていったことも影響があると指摘があった。15年前の1991年度では年間220人余りいた利用者が、今年度このままの減少が続くと90人を割り込んでしまうという。

 今井理事長の話だと、富部温泉は1964年に開湯、1年後から同生協が経営を担っている。町関係者によると、財産区や地区の組合組織などが運営する温泉が閉鎖されるのは、初めての例になるという。



長野日報 - 2006/11/9

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