南極観光、28か国が上陸者数制限へ…環境に配慮
「最後の秘境」といわれる南極大陸には年間2万6000人もの観光客が詰めかけ、ペンギンの繁殖の妨害や環境汚染などが懸念されることから、南極観測を行う28か国で構成する南極条約協議国会議は、観光の規制に乗り出すことを決めた。
来年4月の会合で具体策を検討するが、乗客500人以上の大型観光船の南極海入りや上陸者数の制限、ホテル建設の禁止などを討議する方針だ。
南極観光は、南半球の夏季(12月?翌年3月)がシーズンで、アデリーペンギンやアザラシの観察や観測基地訪問のほか、登山やスキー、温泉を楽しむツアーや、飛行機による遊覧飛行もある。
南極旅行を扱う業者団体「IAATO」の調べによると、南極に上陸した観光客は1992?93年は6700人だったが、98?99年には1万人を突破。05?06年は2万6000人に達した。日本人もここ数年、700人前後が上陸。04年には大型客船「飛鳥」による南極海クルーズもあった。
協議国会議の今年の会合にも参加した国立極地研究所の渡辺研太郎助教授によると、観光客が訪れる場所は、南米寄りの南極半島や島に偏っている。特にペンギンの営巣地には、1シーズンに数回、ツアー客が押し寄せるため、ペンギンが落ち着いて抱卵できない。また、ホテルが建設されればゴミや汚水の処理も問題となるため、協議国会議は一定の観光規制が欠かせないと判断した。
(2006年11月6日15時33分 読売新聞)