温泉や雪祭りに招待し除雪ボランティアを募集
本格的な降雪シーズンを前に、東北や北信越などの豪雪地帯で、昨冬の「平成18年豪雪」を教訓に、新たな除雪対策に知恵を絞っている。
高齢化率が50%超の村もある福島県・奥会津地方では首都圏の若者らをターゲットに雪かきボランティアを募集。青森市は、優秀な除雪業者に契約額の5%相当の報奨金を支払う。
このほか、除雪車に全地球測位システム(GPS)を搭載し、除雪作業の進行状況を瞬時に把握する(秋田市)など、情報技術を駆使して過酷な雪を乗り切る作戦も考案されている。
昨シーズンの最大積雪が約170センチに達した福島県・奥会津地方の金山町と、近隣の柳津町、三島町、昭和村と県は近く、雪かきを手伝う「奥会津雪かたし交流ボランティア」の募集を始める。
4町村の高齢化率(11月1日現在)は37・3%(柳津町)?54・1%(昭和村)。金山町は、住宅の周りの消雪装置の設置工事費を補助したり、除雪機材を地区ごとに貸し出したりしてきたが、昨シーズンはそれでも間に合わず、県がNPO法人や自衛隊に除雪を依頼した。
雪かたし交流ボランティアの参加者は県会津振興局に登録。交通費や宿泊費などは自己負担だが、町村は、温泉や雪祭りに招待し、「感謝の気持ち」を表すことを検討している。県会津振興局は「スキーなどと組み合わせて楽しみ、住民との交流も広げて」と話す。
昨冬の豪雪で、除雪が追いつかず、市民から1万2000件の苦情や要望を受けた青森市は、〈1〉優秀な除雪業者への報奨金を支払う〈2〉市と町内会、除雪業者による雪の集積所などに関する協定を結ぶ??などの対策を打ち出している。報奨金は、市が除雪業者の能力や積極性、住民への対応を評定し、上位業者に支払う仕組み。
同市郊外の赤坂町会は昨冬、「朝起きると、除雪車の寄せた雪が玄関前に積み上がっている」と苦情が噴出。鈴木茂町会長は「要望を業者などと直接話し合えば、不満はかなり解消する」と話す。
昨季より207台多い1040台の除雪車を稼働させるのは秋田市。うち100台にGPSを取り付け、作業の効率化を図る。また、道路を5段階に区分し、除雪の優先順位を決める。新潟県は、雪崩発生の危険がある約3000か所を記した全国でも珍しい地図を作製。13万世帯に配った。
気象庁が先月発表した3か月予報では、日本海側各地とも降雪量が「少ない」可能性は40%、「平年並み」が40%、「多い」が20%。昨冬も同時期の予報では今冬とほぼ同じ数字だった。
読売新聞 - 2006/12/18