別府市 「全市給湯」湯けむりに消え… 温泉特会を廃止
別府市は来年度から、市営温泉の管理運営を行う際の収支会計である「温泉事業特別会計」(温泉特会)を廃止し、一般会計に移行する。温泉特会は20年前、全市的な温泉供給システム構築を目的に設置されたが、湯量不足などのために給湯構想はとん挫。想定していた主要収入源が絶たれ、赤字の穴埋めに一般会計から毎年数億円を繰り入れる窮状が長年続いていた。
同市議会は14日、温泉特会廃止を盛り込んだ特別会計条例改正案を全会一致で可決した。温泉事業を一般会計で扱うのは20年ぶり。
市温泉振興室によると、温泉特会は1986年3月の市議会で、温泉事業の収支明確化と独立採算化を目的に設置。当時の脇屋長可(ながよし)市長(故人)は「蛇口をひねれば温泉が出る」をキャッチフレーズに、市営温泉と区営温泉計150カ所や個人宅に温泉を供給することを目指した。
だが、全市給湯構想は「源泉かけ流しで使えるほどの湯量が確保できなかった上に、民間運営の低料金の温泉が近くにああった」(同室)ことから、構想は実現に至らぬまま挫折。温泉特会は初年度から歳入不足に陥った。
赤字を埋めるため、予算の半分以上を一般会計からの繰入金で補てん。98年度には特会の歳入約7億3000万円のうち、繰入金(約5億7000万円)が8割近くを占める状態になった。繰り入れ分は「特定収入」とみなされるため、平均で年間約800万円の消費税も課税されていた。市は打開を図るため2001年、当時60円だった市営温泉の入浴料を100円に値上げしたが抜本的改善にはほど遠かった。
一般会計に戻すことで、(1)消費税支払いが不要になる(2)事務手続きの大幅な簡素化‐などのメリットがあるという。阿南俊晴経済観光部長は「温泉事業は健康増進やまちづくりなどの観点からとらえ直す必要がある。一般会計の方が扱いやすい部分もある」と話している。
西日本新聞 - 2006/12/15