金曜日

志楽の湯(神奈川県・縄文天然温泉)


 川崎市の中心部、工場と住宅が立ち並ぶ中、ジャパンエナジーの工場跡に昨年4月開業した志楽の湯。

 首都圏在住者なら、温泉ドライブという感覚ではないかもしれない。が、熊本の黒川温泉にある人気旅館、新明館の主人、後藤哲也氏が監修したこの施設は、遠いふるさとを訪れたときの安らぎが実感できるよう、工夫されている。

 露天風呂を造るにあたっては、八ヶ岳山麓の安山岩を運び入れ、九州から自生のコナラを移植している。また工場の廃材を再利用して柱にするなど、古さを演出。さまざまなこだわりが生かされ、あたかも自然の山あいに造られた露天風呂のような趣だ。

 温泉は地下1400メートルから湧き出す化石海水で、塩分濃度が高く、タラソテラピーの効果も期待できる。

 このほか、蔵石風呂、勾玉湯、味噌樽風呂、海底洞窟蒸し風呂(女性のみ。男性はドライサウナ)など、趣向を凝らした風呂がそろう。男湯と女湯がほぼ左右対称に設(しつら)えてある。

 併設の食事処志楽亭は健康を考慮し、そばが中心のメニュー。揚げたそばの実と薬味がたっぷりのった縄文ぶっかけ蕎麦焼味噌添え1000円がおすすめだ。レストランだけの利用もできる。

 足を延ばすなら初詣での人出で知られる川崎大師へ。境内には大山門、大本堂、八角五重塔など見どころが多い。11月23日までは菊花展を開催。(文/田辺英彦)


読売新聞 - 2006/11/9

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