「温泉県」危うし?。宿泊客数が年間十万人超の温泉地を八カ所抱える群馬県だが、宿泊客数は二十年前と比べて約13%減っていることが、群馬銀行のシンクタンク「群馬経済研究所」の調査で分かった。全国では22%増加しており、群馬県内温泉地の苦しい現状が浮き彫りになった。 (石屋法道)
群馬経済研究所のリポート「県内主要温泉地の現状と温泉旅館経営の今後」によると、二〇〇四年度の県内の宿泊客数は約六百九万人で全国六位。しかし、県内八大温泉地のうち、二十年前と比較して宿泊客数が増加しているのは草津温泉と万座温泉のみ。ほかはすべて減少している。
〇四年度の宿泊客数は、一九八四年度比で、県内トップの草津温泉が18%増加し百八十万人台。万座温泉も39%増え、三十八万人と好調だった。一方で、老神、猿ケ京、磯部、水上の各温泉の下落率は30?40%台。伊香保と四万の両温泉も10%以上減っており、明暗がはっきり分かれた。
宿泊施設の規模でみると、九〇年度から二〇〇四年度の稼働率の下げ幅が、大型旅館(客室百室以上)で10・7%、中型(同三十一?九十九室)で6・9%、小型(同三十室以下)で3・7%。
客単価も一九九〇年度にはわずかな差しかなかったが、二〇〇四年度では大型一万八千七百円、中型二万三百円、小型二万四千三百円と、小型旅館が圧倒的に優位となっている。
同研究所は「小型旅館が富裕層の個人客を確保して値崩れを防いだのに対し、大型旅館は団体客が減り、固定費カバーのため安売りを余儀なくされた」と分析している。
ただ、二〇〇〇年度ごろからは全体的に緩やかな回復基調で、客単価も〇三年度以降は下げ止まり。同研究所によると、消費者の温泉需要は向上しており、「自社の規模と魅力を把握し、独自のアピールポイントを開発することが生き残りの鍵」とアドバイスしている。
中日新聞 - 2006年10月16日
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